元塾講ママのシンプル知育

元中学受験塾講師。5歳と2歳の息子たちの「塾無し中学受験」を目論んでいます。

【書籍紹介】「偏差値40台から開成合格!自ら学ぶ子に育つおうち遊び勉強法」元スパルタ塾講ママの率直レビュー

塾なしで中学受験、しかも「開成中学に合格」などと聞くと、特別な天才の話かと思いますよね。しかし偏差値40台からほぼ塾無しで勉強し見事開成中学に合格した人が本当にいるのです。

 

書籍化前から注目していた「現役開成高校生」によるすごいブログ!

こんにちは。元スパルタ塾講ママです。

今回は全力でおすすめしたい話題の本

偏差値40台から開成合格! 自ら学ぶ子に育つ おうち遊び勉強法

のご紹介です。

 

著者は現役開成高校のぎん太さん。

 

ほとんど塾なし開成中学に合格した経験や、幼い頃からのご家族とのエピソードが緩いタッチの漫画で綴られています。

 

元々はブログで発信されていて、その頃から私は読者として記事を読ませてもらっていました。

 

反響が大きくなり書籍刊行に至ったそうで、普段は電子書籍派の私ですが、こちらは迷わず本体で購入しました。

 

もともとは「賢さ控えめ」母の愛が好奇心を育んだ

開成中学に合格」と聞くと、小さいころからずば抜けて頭脳明晰な「神童」だったのかと想像しますが、

ぎん太さん曰く「賢さ控えめ」だったそう。

 

謙遜かと思いきや、語られるエピソードは「ごく普通の(むしろ落ち着きのない?)やんちゃな男の子」そのもの。

 

このままでは「他人の迷惑をかける」「死ぬ確率も高そう」「勉強ができなくてつらい学校生活だろう」と、ぎん太さんの将来を心配したお母さんは、アイディアを駆使してさまざまな知識をお子さんに伝えていきました。

 

ぎん太さんのお母さんは特に勉強が得意だったわけではないそうです。

 

だからこそ、お子さんに勉強を「苦行」に感じさせたくなかったため、楽しく、苦労せず自然と学べるよう、好奇心を育てる工夫をたくさんされています。

 

習い事の基準は「死なせない」

ぎん太さんが幼少期に習ったのがサッカーとプール、長く続けているのが空手だそうです。

 

危険な人から逃げる「逃げ足」をサッカーで鍛え、いざというときに向こう岸まで泳げるようにと「水泳」を選択。空手も身を守る力がつきますね。

 

子どもが赤ちゃんの時は「寝返りを打って息が止まってしまわないか」とか「食べ物をのどに詰まらせないか」とか「お風呂で溺れないか」など、とにかく「我が子を死なせないこと」を第一に考えます。

 

ところが、大きくなってくると色々な欲が出てきて「あれが良いらしい」「これも良いらしい」とネットや知人からの情報などに流されて、気づけば子どもは毎日習い事漬け、なんてことも珍しくありません。

 

勿論習い事にはそれぞれに良い面がありますが、我が子に過度な負担をかけないよう、ぎん太さんのお母さんのように子育ての明確な基準を持つことは大事だと感じました。

 

遊びを通して楽しく学べば自然に賢く育つ

ぎん太さんのお母さんは、ご自分が勉強を苦行に感じさせられて辛かった経験から、自分のお子さんたちには何よりも「楽しく」を大切にされています。

 

たとえば

・お風呂では「ポスター」や「ペットボトル」を持ち込んだり、「九九のCD」を流したり、

・地元の広報誌を調べて「〇〇祭」に出かけたり、

・頭を使う系のボードゲームを家族皆で楽しんだり。

 

もちろん家には本棚がいくつもあり、図書館も利用して、小さいころから絵本の読み聞かせもたくさんされました。

 

我が家の長男は最近漢字に興味があるので、小1向けの漢字ポスターを買ってお風呂場に貼っています。

半分くらいはいつの間にか覚えていたようで、得意げに次男(1歳)に教えています。

文字として認識しているかは分かりませんが、次男は私が「大」を指さすと「おーきい!」と言っています(かわいい)。

 

お風呂用ポスターは気軽に取り入れられておすすめです。

 

 

疑問に思ったらすぐに調べる

ぎん太さんのお母さんは「これは何だろう」と疑問に思ったことはすぐに調べて教えてあげていました。これは本当に大事なことだと思います。

 

子どもの興味はとにかくコロコロと移ろいやすいもの。これは好奇心旺盛の裏返しでもありますが、「この植物をあとで図鑑で調べよう」だと、帰る頃には子どもの興味が薄れてしまっていたりします。

 

「今すぐに調べる」は好奇心の芽を見逃さず、大きく育てるために大切なこと。この習慣は大人になっても大いに役立つものだと思います。

 

今はスマホで写真から名前を調べられる便利なアプリもありますので、ぜひ活用したいですね。

 

ほぼ塾なし中学受験 

ほぼ塾なしで中学受験を乗り切ったぎん太さんは、二つの教材を使っていました。

 

・基礎が丁寧に分かりやく載っている【進研ゼミ小学講座】

・実践的で難問が揃っている四谷大塚の「予習シリーズ」

とても良い選択だなと思いました。

 

進研ゼミは一般的に難関校受験には足りないと言われていますが、勉強で最も大切な「基礎」を理解するにはうってつけ。

予習シリーズは良問揃いですが、いきなり手を出すには少々難易度高めです。

 

ぎん太さんはそれぞれの教材の特徴を理解し、目的に合わせて使い分けており、非常に効率よい学習方法だと思いました。

 

ただし、これができるのは幼いころから主体的に学ぶ姿勢を大切に育んできたからこそ。

 

「分からないことを納得できるまで調べて考える」という主体的に学ぶ姿勢が不十分であれば、塾のカリキュラムに乗っかって学習を進める方が効率よいと思います。

 

「塾なし」中学受験のメリット

ぎん太さんはほぼ塾なしで中学受験をしたことのメリットをこのように言っています。

 

「通塾しないことで勉強時間を確保できた」

 

そうなんです。通塾時間も積み重ねると結構な時間になるのです。

 

毎日大量の宿題をこなし、学校が終わって急いで塾に行き、塾で夕飯の弁当を食べ、夜遅くようやく帰宅。

土日も模試や志望校対策講座などで、とにかく休みがありません。

道長くて30分程度の通塾する時間を惜しむほど忙しいのが、中学受験生なのです。

 

しかしよくよく考えるとこれは小学生に強いるには不健全な生活かもしれません。

 

親としては、できれば家で温かいご飯を食べさせてあげたいし、健康のためにもなるべく早く寝かせてあげたい。

もし家で受験勉強できれば、貴重な時間を節約できます。

 

元塾講師としては塾のメリットも当然熟知していますが、2人の息子たちの親としては、現代のハードすぎる塾ありが前提の中学受験には複雑な思いを抱いているのが正直なところです。

 

主体的に学んでいける子に育てたい

我が家では子育てのモットーに「主体性」を掲げています。

 

それは、様々なことが不透明で不確かな現代において

「自分で考え、自分で決め、自分で責任を取る」

ということがとても大切になってくると考えるからです。

 

誰かに決めてもらっても、それで成功するとは限りません。

 

だからこそ後悔しない人生を送るために、息子たちには「自分で道を切り拓いていける人間」に育ってほしいのです。

 

そんな私にとって、今回ご紹介した「偏差値40台から開成合格!自ら学ぶ子に育つおうち遊び勉強法」はとても学ぶところがありました。

 

ぜひ多くの方に読んでいただきたい一冊です。