「ピアノが認知症予防になる」「東大生の2人に1人がピアノ経験者」とよく言われます。
経験的にもピアノは脳に良いと昔から知られてきましたが、最近では科学的にもその効果が実証されつつあるようです。
開成中学ではピアノの授業がある
こんにちは。元スパルタ塾講ママです。
あまり知られていない事実ですが、あの開成中学ではピアノの授業があります。
ちょっとピアノに触れてみる、というレベルの授業内容ではなく、ピアノの実技や楽典、作曲(作曲家ではなく)について、生徒のピアノ経験値をレベル別に分け約2年間みっちり学ぶそうです。(その後はクラシックギターも習う)
東大進学者数全国1位の超進学校「開成」ですが、大学受験と直接関係が無い音楽の授業に力を入れているというのは意外に思われるかもしれません。
そこで、ピアノをはじめとする楽器を学ぶことと学力や知能との関係性について考えてみました。
幼少期になぜ楽器を学ぶのか
そもそも楽器を学ぶ目的とは何でしょうか。
「楽器は感性を豊かにする」とよく言われますが、なんとなくボヤっとした表現ですよね。
現在4歳の長男は昨年の5月からピアノを習っていますが、まだ習い事の検討段階の時に「何のために楽器を習うのか」についてしっかり腹落ちしたくて、音楽教育に関する本を何冊か読んでみました。
その中でも、こちらの本に出合ったことで「ぜひ楽器を習わせてみよう」と気持ちが固まりました。
楽器を習うメリット
この本の中で楽器を習うことのメリットが述べられており、非常に納得のいく内容でした。
メリット① 質の良いストレスが忍耐力と上達につながる
習い事には、
週1程度のレッスン当日だけで完結するものと、
自宅での練習の比重が重いものとがあります。
楽器は完全に後者。
週1回のレッスンに通うだけでは決して上達せず、いかに家で毎日取り組むかが全てといっても過言ではありません。
そうした地味な反復練習は決して楽しいものではなく、むしろストレス。
しかし毎日積み重ねることで、確実の自分が上達していく実感を得ることができるのです。
「地味な反復練習は正直面倒くさい。でも毎日頑張れば必ず上手に弾けるようになる」
このように日々の努力の積み重ねの大切さを学べるのが楽器を習うことだといいます。
メリット② 正しい努力の仕方が身につく
「まだできないこと」を「できるようにする」のが上達するということです。
すでにできることだけをいくら繰り返していても、上達はしません。
たとえばピアノの発表会に向けて、ある曲の練習を始めたとします。
右手、左手、両手と順に習得し暗譜までできたので、あとは本番まで「1日につき1曲を通して3回弾く」と、練習をルーチン化する。
すると、毎日弾いているにもかかわらず、なぜかどんどん下手になっていくというのです。
つまり、ただ時間だけを費やして技術を維持しようとするだけでは技術は維持はできず、むしろ下がって行ってしまうのです。
そこで暗譜して以降の練習で重要なのが「限界的練習」。
これは「何を上達させるか」を意識した練習です。
たとえば「音の強弱」「左手の伴奏」「スタッカート」など、目的を意識して練習する。
言い換えると、自分のまだできていない部分をしっかりと意識し、一つ一つ克服していくということです。
この「意識する」ということは、楽器に限らずスポーツでも勉強でも非常な重要なポイントと言えます。
※ここでいうメタ認知に通じるかと。↓↓
メリット③ 正しい「学習観」が作られる
そしてこれこそが一番のメリットと思ったのが、楽器の練習を通じて
「毎日練習するのが当たり前」
という価値観(=学習観)が作られるということです。
何事でも三日坊主になりがちな人(私もその気があります…)は、
「ちょっと体調が悪い」
「ちょっと急用が入った」
など、些細な理由から「今日はできない」と、すぐに例外を作ってしまいます。
そして例外は一度作るとどんどん増えていくものです。
しかし「楽器を毎日練習する」というのは、基本的に例外を認めないということ。
多少体調や都合が悪かったとしても、決して練習をゼロにはしない。
なんとか調整して少しでも楽器に触れ、練習を継続していくことが大切なのです。
このように楽器を通して正しい学習観を身につけられると、楽器以外の他の分野でも「粘り強く最後までやりきる力」を発揮できるようになると考えれられます。
長男が習い始めてから知った、ピアノのすごい効能
長男の通うピアノ教室を主宰されている先生は、ピアノだけがご専門ではなく心理学の研究者としての一面のある方です。
そこでお聞きした科学的に実証されているピアノの効果というのが、次の通りでした。
「並行処理」によってワーキングメモリを鍛えられる
ワーキングメモリとは「情報を一時的に蓄えておく脳の機能」であり、知能に大きく影響するものです。
ピアノは両手の全指を使って演奏する上に、足でペダルも踏みます。
そして楽譜で少し先を読みながら、実際に今弾いている音の高さ、リズム、指使いなど、複数の情報を同時に確認しています。
つまり同時に複数の情報を処理する「並行処理」を非常に高次元で行う必要があるのです。
こうした並行処理は脳を鍛えることになり、高齢者では認知症の予防改善、幼少期では知能を高めることに役立つそうです。
まとめ
ピアノを習い始めてまだ一年も経ちませんが、 幼児期だからこそ始めたい 一生ものの音楽教育 で述べられていた楽器を習うメリットは、既に十分感じています。
元々慎重な性格で失敗するのが大嫌いな長男。
週1のレッスンで先生から合格がもらえないとショックが大きいので、私もなんとか工夫して毎日練習に付き合うようにしています。
すると、そばで見ていても
「一つの曲をマスターするのが早くなった」
「指がよく動くようになった」
「一音一音がしっかり響くようになった」
とその成長を実感します。
そのような気づきを
「毎日練習しているからこんなに上手になったね」
と言葉にして長男に伝えることで、長男自身も「継続は力なり」
を実感しているようです。
幼児期から努力を継続することの意味を体得できるのは、今後の長男の人生において計り知れないメリットとなると感じます。
今後も上記で述べたメリットを期待しつつ、何より親子で美しい音を楽しみながら、ぜひピアノを通して頭も心も豊かに成長していってほしいと考えています。