「頭のいい子の部屋は散らかっている」という話をしばしば耳にしませんか?
多少雑然としてるくらいの部屋の方が、子どもの好奇心を刺激するため優秀に育つ、というのです。
たしかに大人でも非常に優秀な人ほど机な上に物が溢れかえっているのを見る気がします。
そこで、整理整頓と学力との関係について、元スパルタ塾講師時代の実体験と現在二児の子育に奮闘するママの視点から、考えをまとめてみました。
頭の良い子は片付けが苦手?
教育業界ではしばしば言われることですが、たしかにとても成績の良い子の中には片付けや整理整頓があまり得意ではない子がいます。
こういう子はすぐに様々な事に興味が向くため、落ち着いて整理している暇が無いのだと思われます。
知りたいことが多過ぎて片付けが追いつかないB君
塾講師時代の教え子で成績上位常連、某御三家中学に合格したB君はいつも全力投球です。
授業中に私がする雑談にもいつも目をキラキラさせながら耳を傾けて、自分の意見をどんどんぶつけてきてくれ、何気なく話したことも全て記憶してしまうほど利発な子でした。
そんなB君のカバンの中はというと、何週か前の漢字テストがカバンの底から発掘されることもあり、お世辞にもキレイに整っているとは言えませんでした。
しかし、これだけで「頭の良い子=整理整頓が苦手」と結論付けるのは早計です。
B君は絶対に忘れ物をしない
整理整頓が得意とは言えないB君でしたが、実は忘れ物を絶対にしない子でした。
小学生というのは、しょっちゅう忘れ物をするものです。
筆記用具を忘れるなど日常茶飯事で、その日の授業で使うテキストやノートを忘れる子も珍しくありません。
しかしB君はごちゃっとしたカバンを持ち歩いているにもかかわらず、忘れ物は滅多にすることがありませんでした。
もちろん宿題も毎回完璧でした。
B君のお母さんも忘れ物をしない。そして連絡帳がとにかく面白い!
そしてB君のお母さんもまた、塾への提出書類などを絶対に忘れることなく、毎回余裕をもって提出してくださる方でした。
特に、毎週各授業前に提出していただく連絡帳は、記入内容がどのご家庭よりも充実していました。
けっして勉強面の話だけではなく、日常の何気ないお子さんの様子が生き生きと伝わってくるような内容で、毎週私はB君の連絡帳を読むのが楽しみでした。
たとえば、
家で飼っているメダカのお世話についてB君が試行錯誤する様子や、
家族旅行でのB君の面白い発言など。
どれも子どもの様子をしっかり見ていないとなかなか書けないような内容。
連絡帳を未記入で出されるご家庭も多い中、毎回ビッシリか書いてくださるB君のお母さんでしたが、下には小さなお子さんが2人もいて、さらにお仕事もされていたので、実はかなりお忙しかったはず。
きっと保護者として把握しておくべき情報を決して漏らさないよう、非常に効率よく情報を管理されていたと思います。
とにかくメモを取るB君親子
B君親子で印象的だったのが、二人ともしっかりメモを取るということです。
面談ではお母さんは必ず事前に話すべき内容をまとめてきて下さり、話した内容もしっかりメモされていました。
面談前に、予め電話で相談したいことを伝えてくださることも多かったです。
そしてB君自身も、宿題の指示内容をお気に入りのメモ帳に毎回しっかり記入し、不明な点があれば必ず質問をしてくれました。
「アタマの良い子」は情報の取捨選択が上手
そもそも整理整頓のできていない子の大半は成績もあまり良くありません。
そして忘れ物も日常茶飯事です。
つまり、B君の例から言えることは、整理整頓をしないから頭が良いのではなく、整理整頓をあまりしなくても混乱しないくらい高い情報処理能力を持っているからこそ、成績が良いのだと思います。
そしてそうした子の親は、ある程度子どもの自主性に任せつつ、親として把握すべきポイントをしっかりと押さえているのです。
また、当然ながら整理整頓がきちんとできて、かつ成績も優秀な子は大勢いました。
まとめ:自分の把握できる情報量を知ることが大事
このように考えると、子どもの学力と整理整頓に関しては、物理的に整理整頓ができるかどうか、というよりも、必要な情報を適切に把握する力の方が重要なのではないかと思います。
頭の中だけで大量の情報を整理できる人もいれば、そうではない人もいます。
つまり、自分の情報処理能力のキャパシティを正しく理解し、必要に応じてメモに取ったり書類の整理をしたり、あるいは思い切って断捨離をしたりして、自分にとって丁度良い情報量に調整していくことが必要なのではないでしょうか。
今回は整理整頓の学力との関係について考えてみました。
次回は幼少期の部屋作りと学力や知育について考えてみたいと思います。