子どもが小さいとなかなか家が片付かずかないので、できれば物を減らしてスッキリ暮らしたいと考えるママも多いと思います。
しかし「頭の良い子の家は物が多くてごちゃっとしている」という話も耳にすると、子どものためにはあまり部屋を片付け過ぎてはいけないのかと心配になりますよね。
そこで今回は、丁度よい物の量という視点で、知育と部屋作りについて考えてみたいと思います。
物が少ないとなぜ学力が伸びないのか
カリスマ家庭教師として有名な西村則康氏によると、片付き過ぎた部屋では刺激が少なく、子どもの好奇心が育たないのだといいます。
たしかに、頭の良い子はみんな好奇心旺盛。気になったことはすぐに知りたくなるので、本や図鑑を引っぱり出して調べ、そしてまたすぐに次の気になる事へ取り組み始めます。
親がどんなに片付けても子どもの好奇心の勢いに追いつけないのです。
誰でも赤ちゃん時代は好奇心に忠実
我が家の一歳の次男もそうですが、赤ちゃんというのは、
行かないでほしい場所にどんどん入っていき、
開けないでほしい箱や引き出しを次々に開け、
触らないでほしい物をぽんぽん引っぱり出し、
何でも口に入れようとしてしまいます。
ちょっとでも目を離そうものなら、一瞬で部屋は物で溢れ返ってしまい、一体片付ける意味があるのか、と悲しくなるほどです。
しかし、これは赤ちゃんにはまだ大人の言葉が通じず、ひたすら自分の好奇心に忠実に行動するからこそ。
こうした大人にとっては困ってしまうほどの探索行動を繰り返し、爆発的に知識を増やしていくのです。
「〇〇してはダメ」の言い過ぎは子どもの好奇心を奪ってしまう
もちろん成長していく中でしつけは重要ですから、危ない事や他人に迷惑をかけてしまうようなことは、しっかりNOと教えていく必要があります。
しかしその際に過剰に「〇〇してはダメ」を言い過ぎると「新しい事を知ろうとする行動」と「親に叱られる経験(=嫌な経験)」が子どもの中で強く結びついて学習されてしまいます。
すると子どもは「新しい事を知りたい」と思うこと自体をネガティブに捉えてしまい、せっかくの好奇心がどんどん萎んでいってしまうのです。
成長しても好奇心を持ち続けられる子が頭のいい子
勉強とは新しいことを知っていくことです。
幼いころからいつも「何でも知りたい」と思って知識を積み上げてきた子が、学年が上がるにしたがって「頭のいい子」と呼ばれるようになるのです。
一方で塾講師時代の経験からも、好奇心が乏しい子は成績もあまり良くありませんし、たとえ得意な教科があったとしても、苦手な他の教科を避けてしまうせいで総合成績が上がらず、受験でも本命校に手が届かない場合が多いと感じます。
子どもの好奇心を育み続けるために必要なのは親が笑顔で過ごせる空間
やはり子どもの好奇心を育むためには、ある程度子どもにとって刺激となる物があったほうが良いということでしょう。
リビングには本や図鑑、地球儀、家族で楽しめるボードゲームなど、子どもの好奇心を刺激したり、家族の会話が弾むアイテムが、子どもの手の届くことろにあるのが大切だと思います。
どれくらい片付ければ良いのか
ただ、物の量の適正量には個人差が大きいですよね。
たくさん物があってもどこに何があるのかしっかり把握できる人はいますし、すぐに物を無くしてしまう人もいます。
たとえばインテリアコーディネーターの友人はたくさんの雑貨で部屋を飾っていますが、雑然とはしておらず、もちろん埃も被っておらず、一つ一つ大切に手入れしているのが分かります。
しかし自分にも同じことができるかと考えてみると、大雑把で面倒くさがりな性分の私にはとても真似できそうにありません。
有名な「佐藤ママ」さんの家はスッキリとしていない
よく東大生にお母さんはどんな人だったのかを尋ねると「いつもニコニコしていた」という回答が多いと聞きます。
お子さん4名全員が東大理Ⅲに合格したことで有名な佐藤ママさんのご自宅は、割と物が多く、スッキリと片付いているわけではないそうです。しかしお子さんたちはそんなご実家がかえって落ち着くとのこと。きっと物の豊富なおうちで4人兄弟妹が賑やかに楽しく育ってこられたのでしょう。
また佐藤ママさんの著書
三男一女東大理III合格! 佐藤ママの子育てバイブル 学びの黄金ルール42
を読ませていただいた際に印象的だったのが、お子さんから寄せられたコメントで、佐藤ママさんのことを「自分たち子どものことが大好きなお母さん」と評されていたことです。
いかに愛情をたっぷりお子さんを育ててこられたかが分かりますね。
まとめ:自分にとっての適正量を知ることが重要
子どもの好奇心を引き出すには、部屋にたくさん物があるかだけではなく、どのような時間を過ごすかが大切。どんなに本やおもちゃがあっても、親がいつもイライラして余裕が無ければ、子どもの質問に答えてあげたり、好奇心に気づいてあげることは難しくなります。
つまり、何よりも親がイライラせずに過ごせる心地よい部屋かが重要なのではないでしょうか。
具体的には、
「子どもの好奇心を刺激し家族の会話が弾むような物」をリビングの子どもの手の届くところに置くのは大前提ですが、同時に
・子どもが散らかしたものを片付けるのが苦にならない(=片付けにイライラしない)
・子どもに触られたくないものは遠ざける(=「〇〇しないで」と言わないで済む)
・親が必要な物の場所を把握できる(物を探す時間はイライラのもと)
といったことがポイントになるかと思います。
物が多くてもイライラせず心地よく皆が過ごせるならそれがその家族にとっては正解ですし、
部屋の物が少なくても、家族との会話が豊富だったり外に出かけていろいろな体験をすることとで、子どもの好奇心を育むこともできるはずです。
結局は「自分にとって心地よい物の量」を知ることが、大切なのでしょう。
私も子どもたちと笑顔で楽しく過ごせる部屋を目指して、ちょっとイライラを感じ始めたリビングの断捨離を始めようと思います。