ゴールデンウィークももうすぐ終わりますが、子どもの成長のためにも普段から色々な実体験を積ませたいと考えているご家庭は多いと思います。
前回から引き続き、私が塾講師時代に目の当たりにした、豊富な実体験が成績に大きく影響していたと思われる優秀な生徒たちのエピソードをご紹介していきます。
※前回の記事 ↓↓
難関国立中学に合格のT君は日本中の城を制覇
低学年の頃から受け持っていたT君はそれなりに優秀な子で、小学校ではクラス委員長も務めていました。
ただ中学受験において「トップレベル」と呼ばれるには正直なところ今一歩。
特に算数が苦手(小学校のテストはもちろん毎回100点なのですが)で、国語と社会で成績を引き上げている典型的な文系の生徒。
私は御三家レベルには持っていくのは難しいかな、と感じていました。
大河ドラマ「真田丸」で戦国時代にハマる
そんなT君が覚醒したのが、小5の春。その年のNHK大河ドラマ「真田丸」の影響で戦国時代にドはまり。特に城の魅力に心を奪われたようです。
週末には東京から日帰りで行ける範囲の城に足を運びまくり、連休には遠方の城へと泊りがけで訪れるのがご家族の恒例に。
全国の城マップを一城一城潰していき、受験までに日本中の城をほぼ制覇したそうです。
社会の勉強はもはや趣味の域に
実際に現場まで足を運ぶ経験を通して、歴史分野だけでなく地理分野にも精通したことで、T君は社会の成績が偏差値70を下回ることがなりました。
そして、苦手だった算数や理科への取り組みもより一層真剣なものになり、どんどん成績が向上。
社会が得意なだけでは合格の決め手にはなりませんが、社会の勉強が
「ただただ楽しい趣味」というレベルにまで達したことで、苦手教科に割く物理的・精神的余裕が生まれ、結果的に他の教科の成績を大きく押し上げました。
そしてT君は第一志望校であった最難関レベルの国立中学に見事合格。
「将来は東大に行って歴史学者になりたい」と語ってくれました。
徹底的にT君の「好き」を伸ばした母のサポート力
T君のこの大きな成長の影には、彼の戦国時代への興味を存分に引き出し、徹底的に寄り添い続けたお母様のサポート力がありました。
基本的に中学受験は算数勝負。
そしてT君は苦手な算数を何とかする必要がありました。
普通の考えであれば、毎週末の城巡りなどせず、歴史本を読むとか、近場の博物館に行くとか、受験勉強の息抜き程度に歴史を楽しませたろうと思います。
しかしT君のお母様は徹底的にT君の歴史好きに寄り添い、日本全国津々浦々の城までT君と共に出掛けていきました。
生で間近に見る城の迫力や感動は、映像や本では味わえないものでしょう。
そうした体験の積み重ねから彼の中に
「歴史学者になりたい」
という夢が芽生え、そのためにはまず
「中学受験で第一志望校に合格する」
という明確な目標を持つことができたのだと思います。
T君の可能性を心から信じ、いつも前向きなお母様との面談は、私にとって毎回とても楽しくワクワクするものでした。
まとめ:我が子達にも五感をフルに使った実体験を積み重ねてほしい
勉強は本来楽しいもの。
我が子が将来過酷な競争に身を投じることになったとしても、勉強を苦行とせず、学ぶことそのものを楽しんでほしいと思っています。
そのために今からできる種まきとして、五感をフルに活用する実体験を大切に、何事も一緒に楽しむ経験を積み重ねていきたいと思います。