子どもたちの知育に取り組む我が家ですが、当然ながら最も大切なのは心身の健康だと考えています。そのため乳児期には「ねんねトレーニング」に取り組み、子どもたちが良質な睡眠を取れるよう意識しました。
そして子どもたちが幼児へと成長した現在、改めて子どもの睡眠について学ぼうと思い、こちらの本を読んでみました。
子どものトラブルの大半は睡眠で解決できる
病気やケガ、情緒面の発達、学力など、子育てする上で大変なことはたくさんありますが、その大半は子どもの睡眠を整えることによって解決できると書かれています。
そのためのキーワードが「睡眠」「脳」。
心身のバランスや免疫機能を司る自律神経が整うためには、規則正しい十分な睡眠できちんと脳を育てることが重要です。
脳が育つ順番を間違えてはいけない
人間の脳は、内側から外側に向かって「からだの脳」「おりこうさんの脳」「こころの脳」の順に育っていきます。
この順番が非常に重要で、それを無視していきなり「からだの脳」よりも先に「おりこうさんの脳」ばかりを育てようとしてしまうと、後々トラブルを引き起こす可能性が高まるのです。
からだの脳
脳幹や間脳、小脳といった一番内側の脳。原始的な脳であり、生命の維持にかかわる「生きていくために最も重要」な部分。
起きる・寝る、食べる、体を動かす、感情をつくる、といった働きを司ります。
この「こころの脳」は0~5歳にかけて盛んに育つため、まずはここを充分に発達させることが、健康で活力溢れる成長へと繋がります。
おりこうさんの脳
大脳新皮質と呼ばれる、「からだの脳」を覆う外側の部分。
言葉の習得や手先の微細運動、知識やルールなどを覚える働きを司ります。
おりこうさんの脳は1~18歳にかけて盛んに育ちます。
「からだの脳」が生命維持に直結するのに対し、おりこうさんの脳は、より「人間らしさ」に関わる機能と密接に関わっています。
こころの脳
前頭葉と呼ばれる、人間の脳で最も新しく進化した部分。
「からだの脳」「おりこうさんの脳」からの情報が、最終的に前頭葉で統合され、思考・判断されます。まさに人間だけが持つ高度な脳機能を担っているのが「こころの脳」です。
思考や判断に大きくかかわるセロトニン神経回路
これが不足すると不安を強く感じたり、衝動を制御できなくなったりします。またうつ病や不安障害といったメンタル疾患とも密接な関りがあります。
たとえば、初めて何かにチャレンジするとき、
からだの脳が「怖い」と感じても
おりこうさんの脳に蓄えられた「これまでもうまくいった」という経験や知識をもとに
こころの脳が「今回も大丈夫」と判断する。
この「こころの脳」が「今回も大丈夫」と冷静に判断するには、前頭葉がしっかりと機能し感情や不安を制御する必要があるのですが、この前頭葉の働きを落ち着かせる働きをするのがセロトニン。
そして、このセロトニンを作り出しているのが、実は最も原始的な脳である「からだの脳」なのです。
つまり、「からだの脳」をまずは育てないと、セロトニンが十分に分泌されないので、どんなに知識を多く詰め込んでも、「こころの脳」が十分に機能せず、高度な思考や判断をできるようにはならないのです。
※こちらの過去記事の内容を脳科学的に説明されていると感じとっても納得しました。↓↓
起立性障害になった女の子
かつての教え子に、中学に入学後不登校となってしまった女の子がいました。
彼女は中学受験でとある進学校に合格したのですが、どうしても朝に体調が悪くなってしまい学校へ行けない日が多く、心療内科で起立性障害と診断されました。
一時期学校のすぐ近くにアパートを借りてお母さんとそこで生活し、何とか学校に通おうとしていましたが、なかなか事態は改善されずご家族も困っていました。
今にして思うと、睡眠を犠牲にした長年の勉強生活が影響していたのかもしれません。
睡眠を犠牲にしがちな受験界
中学受験の世界はとかく睡眠を後回しにしがちです。
私自身も特に入試シーズンには睡眠を大幅に削って働いていましたし、講師たちにも自分の成功体験からか「寝ないで頑張ること」を美徳とする根性論的な発言をする人が多いのも事実です。
ですが、やはり心身の不調を訴える生徒も少なからずいました。
またそこまででなくても、受験生たちは口癖のように「疲れた」と口々に言います。
塾講師時代は「受験生なんだから疲れるのも当たり前」と思っていましたが、
改めて考えると、元気いっぱいなのが本来の姿のはずの小学生が「疲れた」といつも言っているのは、実は異常なことなのかもしれません。
さらにいえば、大人であっても「疲れているのが常態」というのは、生物としておかしいのかもしれない、とも思います。(これは主にうちの夫・・・)
睡眠最優先にしたら親もイライラしなくなった
実は最近4歳長男の睡眠不足が気になっていました。
次男を先に寝かしつけた後にしか「長男のためだけの時間」を十分に取れないことから、知育やワーク、絵本の読み聞かせなどをつい夜の時間帯に行っていました。
長男自身も弟に邪魔されず親を独占できて楽しいからか「もっとやる」と言うので、つい流されてしまい就寝が遅くなりがちに。
その結果、
朝の目覚めがあまり良くなかったり、
元来穏やかな気質の長男が癇癪気味になる瞬間が増えたり、
という問題を感じていました。
そうなるとどうしても私も子どもに対してイライラしてしまうことが増えます。
しかし今回この本を読んでみて、やはり睡眠が重要だと再確認。
ここ数日は「何を差し置いても睡眠優先」を徹底した結果、子どもたちの行動も落ち着き、私自身がイライラすることも激減して驚きです。
まとめ:「理想は11時間睡眠」 十分な睡眠をとって健康で豊かな人生を
丈夫な体と明るい心を育てることができれば、自ずと子どもは自分の力で幸せな人生を送れるのではないでしょうか。
そのためにも、まずは良質で十分な睡眠を取り、その上で子どもの好奇心を育てるための取り組みをしていきたいと思います。