綿毛。子どもはみんな大好きですよね。
私も子どもの頃タンポポだけでなく、道端に色々な花の綿毛を見つけては
「ふーっ」っと吹いて遊んでいました。
タンポポの綿毛の季節は終わってしまいましたが、今はちょうどノゲシの綿毛がそこかしこで見られます。
タンポポよりも小ぶりな綿毛が可愛らしくて、昔から不思議と心惹かれる花です。
長男は、散歩中に色んな綿毛を見つけては、全ての綿毛を飛ばすまで吹き続けるブーム(?)。
そんな子どもにも馴染みあるノゲシの絵本を見つけて、思わず手に取りました。
飛び跳ねるカエル、歩き回るアリ、空を飛ぶチョウ 自由な生き物たちに憧れるノゲシ
自由に動き回ることができないノゲシは、他の生き物たちが羨ましくて仕方がありません。
そんなノゲシに太陽は「わたしの光を一生懸命吸い込んでいれば、きっとどこかへ行けますよ」
と伝えてくれます。
太陽の言葉を信じて努力を重ねるノゲシ
ノゲシは毎朝花を目いっぱい開き、たくさん光を浴びて、新しい花を咲かせ、つぼみを増やします。
それでも自由にどこかへ行けるようにはなりません。
ずっとこのままなのかと諦めかけてしまいます。
自分の変化に戸惑うノゲシ そして勇気を出す
ある朝、花を開けなくなってしまったノゲシ。
しばらくすると黄色い花びらが白くなっていることに気づきます。
戸惑うノゲシに、太陽が優しく言います。
「だいじょうぶ。そのままゆっくり開いてごらん」
そうして綿毛になったノゲシは、春風に乗ってどこまでも自由に飛んでいきました。
写実的なノゲシの絵 ノゲシの表情が見えるよう
繊細なタッチで描かれたノゲシ。顔などもちろん描かれていませんが、それでも不思議なほどノゲシの表情がありありと想像できるのです。
最後に綿毛となって自由に空へ舞いあがる様子には、思わず涙ぐんでしまいました。
子どもにノゲシの心情を尋ねてみる
「この場面ではノゲシはどんな気持ちだと思う?」
と長男に質問してみました。
「アリさんいいな、って思っている」
と長男。
的確に心情を捉えられていたので
「ノゲシはアリがうらやましいんだね」
「ノゲはアリみたいに色んなところへ行きたいなって憧れているんだね」
と、心情に関する語彙を加えて補足しました。
シンプルなストーリーと奥深い心情表現 高度な読解力への一歩
絵本の読み聞かせは、子どもの読解力や想像力がどれくらい育っているのか、こちらから子どもへ問いかけることで確認することができます。
この「のげしと おひさま 」のような、
シンプルなストーリの中に繊細な心情が描かれている絵本は、
難関中学受験の国語にも通じる高度な読解力の基盤に必ずなります。
長男はこの絵本がとても気に入ったようで、毎晩寝る前の絵本タイムには必ずこの本を含めて持ってきます。
綿毛の飛んでいく描写が好きなのだそうです。
面白くないと感じた絵本は絶対に2度と読もうとしないので、よほど気に入っているのでしょう。
素敵な感性が育っているのかな、と嬉しくなります。
今日も「綿毛を吹いてあげたらノゲシは喜ぶかな」
と散歩中道端に咲くノゲシを見つけて、せっせと綿毛を吹きまくる長男。
こうした純粋で優しい心をこれからも持つ続けてほしいな、と思いました。