中学受験予定の有無にかかわらず、算数の先取り学習に取り組んでいるご家庭は多いのではないでしょうか。
我が家ではタブレット教材のRISU算数や市販のワークを使っていますが、闇雲な先取りは逆効果と感じることがあったので、今回はそのことについて述べてみたいと思います。
- 先取り学習は「楽しい」が大前提
- 「考えるのは楽しい」 初心に戻ることを決意
- 生活回りも含めていったんリセット
- 算数への興味が自然に出てきた
- 算数をやるなら今!RISUを再開
- 急がば回れ。前に進むばかりが成長ではない
先取り学習は「楽しい」が大前提
昨年、長男が年少の秋から始めた算数専用タブレット教材のRISU。
就学前コースの「RISUきっず」からスタートし、小学生のカリキュラムである「RISU算数」に入ってしばらく進めていたのですが、実はここ半年ほどお休みしていました。
いったんお休みした理由と、再開してみて気づいた点をまとめてみたいと思います。
RISUを休んだ理由① 量的キャパオーバー
現在年中の長男の知育や習い事関連の日課は以下の通りです。
朝→ピアノ(と絶対音感×2)・RISU
年少の頃はZ会もピアノも今よりボリュームが少なかったので、それなりに余裕をもって進められていました。
しかし今年から年中になり、Z会のボリュームが大幅アップ。
ピアノ(と絶対音感)もペースを掴んできてから、先生がどんどん宿題が増量。
無理をすればやれなくはないけれど、「息子が楽しめているか」と言われると微妙なところ。
生真面目な長男は「やる」と決めたら頑固に全部やろうとしてしまいますが、眠くてフラフラ&不機嫌な状態で無理にワークに取り組んでも効率よく進まず、結果就寝時刻がどんどん遅くなってしまうように。
このままではまずい、という思いが私の中でどんどん膨らんできていました。
RISUを休んだ理由② 質的キャパオーバー
足し算の学習がだいぶ進んできたところ(RISUは足し算だけでも何ステージも学習します)で、「これ以上はまだ早いな」と感じる点が出てきました。
・一人ではなかなか進められない(特に文章題)
・概念をあまり理解していないように見える(これも文章問題で顕著に分かる)
・1問で「もうおしまい」と言うようになった(文章題を解きたがらない)
どれも文章題で顕著で、明らかに「概念理解ができていない」ということが問題だと思いました。
概念理解が追いついていなくても繰り返しトレーニングすれば、計算自体はできるようになります。しかしそれは機械的な作業。これでは明らかに息子にとって苦行になってしまいそうです。
「考えるのは楽しい」 初心に戻ることを決意
特に未就学の時期には、
・勉強に「苦行」を持ち込まない
・思考力の土台作り(=自分の頭で考える癖をつける)が最優先
というのが私の考えです。
(その分「ちょっときつくても頑張る体験」はピアノが担っています)
思考力重視の傾向が進む中学受験やその先の人生を考えるならば、「教えられた手順を真似すれば答えが出る」という経験よりも、「自分の頭で考える」習慣を大事にしたい。ただ、試行錯誤するには、
・心身共に余裕があること
・課題のレベルが本人の発達段階にとって丁度良いレベルであること
が必要です。
忙しすぎて余裕がなければ「がんばってみよう」という意欲は湧いてきませんし、課題が難しすぎても簡単すぎてもつまらなくなってしまいますよね。
(丁度良いレベルの課題とは発達心理学では「発達の最近接領域」といいます)
このように、量的にも質的にも明らかにキャパオーバーになりつつある息子には、RISUはいったんお休みし「遊び」を通して「楽しい」と感じる時間を増やした方が良い、との結論に至りました。
生活回りも含めていったんリセット
そしてちょうどその頃から、家の断捨離も始めました。
時間的にも空間的にも余裕生まれたことで、長男に次のような変化が見られるようになりました。
変化① クリエイティブ(創造的)な遊びを好むようになった
絵を描く、段ボールや折り紙で何かを作る、ブロックやマグビルドで立体を作る、など「何かを作りたい」という息子の意欲が以前よりも増したように感じます。
昔から絵はあまり得意ではなく、積み木やブロックにはすぐに飽きてしまっていたのですが、ここ最近は長時間集中して大作を仕上げることも。
保育園でも制作にハマっているようで、毎日いろいろな作品を持ち帰ってきます。
変化② 挑戦する気持ちが強くなった
基本的に慎重な性格でチャレンジが苦手な長男ですが、最近は新しいことに挑戦するようになってきました。
その一つが自転車。近所の公園で保育園のお友達が自転車に乗っているのを見て「乗ってみたい・・・」とポツリ。お友達が借してくれたので、フラフラしながらも乗ってみるととても楽しかったらしく、「自分の自転車が欲しい!!」と熱望。熱が冷めることなく何日もお願いし続けるので、もうすぐだった誕生日のプレゼントということに。どちらかというと運動が苦手な長男ですが、毎日練習を続けています。
かつて三輪車にすら乗ろうとしてこなかった長男からは考えられない変化です。
長男の変化③ 友達に関心が向くようになった
昨年から今の保育園に移ったということもあり、年少の頃は友達関係が割と希薄で、先生とばかり遊ぼうとしていました。それがここ最近はお友達と遊ぶのが大好きに!
毎日先生も嬉しそうにお友達との面白いエピソードを報告してくれます。
友だちと関わると、自分では思いつかない発想に触れる機会が増えるので、それがさらに創造性や挑戦につながっていると感じます。
算数への興味が自然に出てきた
上記のように勉強以外の精神面・行動面で長男の成長を感じていると、算数・数への興味を示す発言も増えてきたことに気づきました。
「一番大きい数は何?」(数の無限性?)
「これって5+5=10てこと?」(次男とおやつのクッキーを分けている時)
「1/2は半分?じゃあ4つに分けたら1/4?」(誕生日ケーキを切っている時)
他にも、お金に興味が示すようになったので、100均でおもちゃの硬貨を買ってあげたところ、お店屋さんごっこに夢中に。ついでに2歳の次男も巻き込んで、「100円でーす」「おつりでーす」と盛り上がっていました。
算数をやるなら今!RISUを再開
数や計算、立体図形、お金など、算数への興味が広がってきたので、RISU再開にベストなタイミングが到来していると感じ
「久しぶりにRISUをやってみる?」と声をかけてみました。
すると「うん」と素直な返答。
半年前からの変化は下記の通りで、どうやらジャストタイミングだったようです。
ヒントはたまに。ほぼ自力で解けるようになった
明らかに以前よりも理解がスムーズになり、問題が「長男にとって丁度良いレベル」と感じます。少し大きな数の計算で手が止まっても、玉そろばんを使えば難なく解けます。文章題もすらすら解くので、概念をしっかり理解している様子。
ある程度一人で取り組めるようになった
また2歳の次男がやんちゃ盛りで、長男につきっきりは難しいため、「ちょっと一人で解いていて」と放置しても、きちんと集中して取り組めています。
時には不正解することもありますが、そんな時は100点を取れるまで自力で再テスト。
「不正解」を過度に恐れていた半年前とは別人のようです。
自分で文章問題を作り出した
RISUで「10-3=🔲」という問題が出てきたところ、
「これって”アメが10個あります。3つ食べると残りは何個ですか。”と同じ?」
と聞いてきました。これにはビックリ。抽象化された式を具体的な文章に変換できた、つまり完全に引き算の概念を理解したということです。
急がば回れ。前に進むばかりが成長ではない
あまり算数や数学が得意ではなかった私自身の経験を思い出してみても、「どうしてもスッキリと理解できなかった学習単元でも、数か月後にはすんなり解けるようになっていた、ということが多々あります。
算数は数という抽象的な概念を扱うので、抽象的思考の未発達な子どもにとっては真正面から立ち向かっても「理解できない」ものも多いのでしょう。しかし、十分に脳が発達すればある時「ストン」と腹落ち瞬間があり、そのタイミングには勿論個人差が大きいのです。
「伸び悩んでいるな」と感じたら、まずは視点を変えて、多角的に体験を積み重ね時間をかけて熟成させていく、そんなイメージで子どもの成長を待つことが大事なのではないか、と感じました。