元塾講ママのシンプル中学受験

元中学受験塾講師。5歳と2歳の息子たちの「塾無し中学受験」を目論んでいます。

【SAPIX入室テスト】新小1(年長)11月実施 を受けました

11/4、全統小の翌日に長男(年長)がSAPIXの入室テストを受けてきました。

二日連続のテスト祭りです。

ふだんの家庭学習の成果や到達度を見るという目的ももちろんありますが、実は私の仕事のためというのが大きな目的。

つまりは市場調査です。なので割と気楽に受けに行きました。

SAPIXの入室テストは有料なので、自腹切りましたが。。。)

 

中学受験ならではの空気に触れる

この10年ほど、中学受験の激化・難化がどんどん進んでいます。

私が教壇から離れたのが10年ほど前なので、ちょうどこの変化の激しい10年間を外側からしか観察できずにいました。

もちろん各種データには目を通してきました。

ただ受験の空気感は、やはり受験生や保護者、講師といった当事者でないと、リアルに感じるのは難しいものがあります。

長男が各塾のテストを受けられる年齢になったので、ようやく再びこの空気に身を置けるようになりました。

元塾講師の血が騒ぎます 笑

 

 

SAPIXの親たち

私がかつて勤めていたのは別の大手塾でした。
同業他社としてSAPIXのことは知っており、SAPIXから転塾してくる生徒も多かったです。
SAPIXはドライな校風で有名な塾で、合理主義を極めたカリキュラムや各種の制度から、「甘え」が全く許されない空気は感じていました。

そしてそこに共感して子どもを通わせる保護者もさぞ中受ガチ勢なのだろうと。

その想像通りで、実際に足を運んでみるとテスト前からピリピリした保護者が多く圧倒されました。
たとえば、

「全問最後まで目を通すんだよ」
「できる問題は確実に解くように」
「字を丁寧に書こうね」
「見直しは丁寧にするんだよ!」

といった念押しをする親子を校舎に向かう道すがら何組も見ました。

「なんとしても入室させたい」という保護者の本気度が伝わってきます。

SAPIXの入室テストは超ハイレベル

圧倒的な合格実績で有名なSAPIX

このSAPIXの実績作りは、年長の入室テストから始まっているようです。

前日の全統小と比較するとその異質さ・厳格さが際立っていました。

保護者は校舎内で待機できない

入室テスト当日、事前に郵送された受験票を受け付けに見せ、子どもを受け渡したらそこで試験終了までさようなら。

年長は算数25分・国語25分・体験授業20分。
前後の時間を含めると1時間半ほど、子供を初めての場所に預けます。

全統小(我が家は早稲田アカデミーの会場)は子どもがテストを受けている裏で別室にて保護者会が開催されましたが、そういう集客のための努力はSAPIXには一切ありません。

なので母子分離ができていない子は、SAPIXの門をくるぐことができません。

が、新小1から必ずしも入室する必要があるわけではありません。

実際、説明会でも「半年の違いで精神的な成長度合いは大きく変わるから、入室のタイミングがはお子さんの様子をよく見て判断してほしい」というお話がありました。

後々調べて知ったのですが、この時期は全統小もSAPIX入室テストも、小学校受験組が多いそうです。
たしかにそういう子たちはテスト場面にも慣れているはず。

小学校受験を経験しておらず、しかも慎重な性格の長男にとっては、けっこうドキドキする経験でした。

年長でも問題文の読み上げなし

本来、未就学児はこれから小学校でひらがなを読めるようになればいい時期。
全統小(年長)では問題文を先生が読み上げてくれます。

しかしSAPIXは読み上げがありません。

問題文を自分で黙読し、問題の意味や解答の仕方を理解して正しく答える必要があります。

「まだできない子」をできるようにしてあげよう、という優しさは全くありません。

早熟で勉強が大好きな「できる子」が、その能力を余すことなく伸ばせる環境を与えますので、この条件にマッチするなら歓迎します。

SAPIXのそんなメッセージが伝わってきますね。

SAPIX偏差値=全国統一小学生テスト-(マイナス)10

一般的にSAPIXは他塾よりも偏差値が10ほど低く出ることで有名です。

それだけ塾生のレベルが高いということですが、まさか年長の時点でここまでの差が出るとは思ってもみなかったです。

息子のテスト結果(偏差値)はおおよそ以下の通り。

  • 全国統一小学生テスト(11/3に受験):60
  • SAPIX入室テスト(11/4に受験):50

見事に10の開きがありました。

全統小もそれなりに難しいテストです。
「勉強は小学校に入学してから始めればいい」とのんびり構えていては、いくら地頭が良くても満点は取れません。

ただSAPIXの入室テストはそれより数段上のレベル。

我が家はそれなりに家庭学習で、基礎力・得意の先取り・思考力、をバランスよく鍛えていると自負していますが、それでも「いやーこれは今の時点では無理でしょ」と思うほど難しい問題が容赦なく出題されます。

意図的に満点を取らせないようにしているのかもしれません。

SAPIX入室テストの入室基準

SAPIXのテスト自体はかなりハイレベルですが、入室基準点は意外と高くありません。

長男が受けた11月のテストでは、入室基準点は55点(200点満点中)でした。

基本問題が解ければOK

SAPIX入室テストは、国語・算数共に後半の問題は超ハイレベル。

ただ基本問題が中心となる大問1や大問2を落ち着いて解けば、基準点をクリアするのはさほど難しくありません。

あくまで母子分離ができて、基礎学力や学習習慣があれば、あとは入塾後に塾で鍛えていくので大丈夫ですよ、というSAPIXからのメッセージでもあるのでしょう。

思考力を評価する採点基準

SAPIXの指導のキーワードは「思考力」です。
説明会でもこのことは何度も強調されていましたが、よく詰込み式だと揶揄されるSAPIXなので、正直私の中では懐疑的でした。

ただ、今回の入室テストでその印象が少し変わりました。

というのも、問題は載せられませんが、国語の大問4(詩の読解)で、長男は解答欄ではなく、本文中の( )に書き抜きの答えを記入してしまいました
解答内容は合っていますが、解答欄に解答しなかったので本来は不正解です。

でも返却された答案では正解とされていました。

SAPIXの採点基準は明確に規定されており、ダブルチェック体制もっかりしていますから、たまたまオマケで〇をもらえたのではなく「塾の方針として正解とみなした」と考えるべきでしょう。

小手先の技術にすぎない解答方法など、後からどうとでもなる。
むしろ、諦めずに答えを出そうとした思考の過程こそ評価すべき、というSAPIXのメッセージを感じました。

思考力を重視すると指導方針は伊達ではないようです。

ブレないSAPIX

実際に入室テストでSAPIXに関わってみて感じたのは、確固としたブレない信念がある塾だということです。

それゆえにドライな印象を与えますが、過剰な保護者サービスが無い分、講師は授業に専念できる環境なのでしょう。
実際営業的な入室の勧誘もありませんでした。(入室意志の確認電話が一回あっただけです)

ハイレベルな授業環境のために、無駄なことは一切省く。

個人的な好みはさておき、そうした理念をブレずに体現し続けていることは、シンプルにすごい塾だなと感心しました。

息子の底力が垣間見れたSAPIX入室テスト

ほんの軽い気持ちで受けてみたSAPIXの入室テストですが、さすがの良問・難問揃い。

長男はまだ解いたことのないような問題にも挑戦しました。

しかし返却され答案を見た私の感想は、「よくこんな問題を最後まであきらめずに解いたな!」という感動。

慎重な性格でチャレンジ精神に乏しいのかなーっと感じていた長男ですが、意外なほど粘り強い取り組み姿勢が答案から見られました。

テスト後「SAPIXのテストはすごく難しかった。。。」と少し落ち込んでいましたが、後日入室基準をクリアできたと伝えるとホッとしたようでした。
入室予定はありませんが、長男の自信に繋がる良い経験になりました。

点数や偏差値に一喜一憂せず、「テストは力試しイベント」くらいの気持ちで、今後も楽しく受けていこうと思います。

 

SAPIX入室テストに役立った問題集

【算数】年長は算数パズルを好きになるべき

易しい文章題で問題文をしっかり読む練習

 

【国語】文章読解は小3まで一気に進めるのがおすすめ。語彙力がアップします。

たまに難しめの長文にも慣れてみる