5月から公文で算数を始めた、年長の長男。
なるべく公文式を使わない方法を模索する中で、皮肉にも(?)今の長男にベストなのは公文式の教材だと気づいた、ということを前回の記事で述べました。
今回は、公文式の特長と共に、期待する狙いとメリデメについてまとめたいと思います。
公文式の目的は「計算力」と「作業力」
最初から「(とりあえず)くもんいくもん」と始めたわけではないので、我が家が公文に求めるものはハッキリしています。
それは、
基礎的な計算力
と
作業力
これに尽きます。
以上でもこれ以下でもありません。
基礎的な計算力は思考力の土台
複雑な計算ではなく、あくまで基礎的な計算。
理由は、基礎部分の計算を早くできなければ、思考のスピードも上がらないから。
コンピューターでいうところの、CPUのスペックをひたすら上げるイメージです。
RISU算数でカリキュラムが進むにつれて、息子が算数を楽しめなくなってしまったのですが、観察した結果、基礎的な計算力の無さが原因ではないかと仮説を立てました。
基礎レベルの計算でうんうんうなっているようでは、問題の主題に入る前に疲れてしまい、深く思考する気力を失ってしまいます。
(元来長男は、物事を観察したりじっくり考えたりするのが好きな子です)
なので、おそらく計算スピードが上がることで、またRISU算数の特長である思考力を試す問題を楽しめるようになるのではないかなと考えています。
この基礎レベルの計算力を徹底的に身に付けるのが、私が公文式に求める一つ目です。
作業力(≒ワーキングメモリ)は全教科の土台
公文式の問題自体は難しくないので、深い思考力は必要ありません。
身につくのは作業力です。
反復練習を通して、ひっ算、繰上り繰り下がり、途中式、といった基本的な作業力を高めることができます。
作業力は私の専門である国語でも重要な能力です。
たとえば記述問題において、作業力のある子は、
手や視線を素早く動かすことで速く深い思考が可能となり、膨大な情報をすっきりと整理でき、最終的に完成度の高い解答が作り上げられます。
逆に作業力の無い子は、元々国語が得意だった子であっても、小5の後半あたりから国語の成績が伸び悩みます。
いわゆる「国語のセンス」に頼り続けた結果、作業力を身に付けずにきてしまい、より実践的で長い文章や長い記述に対応できなくなるのです。
社会や理科も同じ。
暗記系と言われる教科ほど、効率よく作業できるか否かが、顕著に結果に表れます。
作業力の向上が、公文に求める二つ目です。
公文式のメリットやデメリットについて
一般論として公文式のメリットやデメリットにあげられるものがいくつかあります。
それらについて考えてみたいと思います。
思考力について
よく公文のデメリットとして、思考力が育たない、と言われます。
算数を例に挙げると、公文式の算数は計算のみを反復練習するので、反射的に数字を扱う癖がつき、深く思考しなくなってしまう、というものです。
ただ、これは若干的外れだと私は考えています。
約10年間の塾講師経験から言えるのは、
公文をするから思考力が伸びないのではなく、
公文しかしないから思考力が伸びない、のではないかということです。
実際、公文式を経験して入塾してくる子はよくいましたが、その中には思考力が高い子も低い子もいました。
その違いは、公文式以外の時間で思考力を鍛えているか否かに起因するはずです。
長年観察した結果、ポイントは家族との会話だと思い至りました。
思考力の高い子は、明らかに家族との会話で思考する訓練を積んでいました。
そして家族仲が良く、面白エピソードがとにかく豊富でした。
学習習慣について
公文式は学習習慣を身に付けるのに最適、とよく言われます。
たしかにその通りなのですが、個人的には、予め別の教材である程度の学習習慣を身に付けてから公文式を始める方がスムーズにいくように感じます。
というのも、学習習慣ゼロのところから始めには、公文式の教材はなかなかのボリュームだから。
家庭学習は基本一日5枚~10枚程度(3教科受講したらもっと多いのかも)、教室でもぶっ通しで何枚も解くので、結構ハードな量です。
そして延々と類似問題が続きます。
「類似問題を何度も何度も解く」という公文式の特性と相性の良いお子さんは問題無いのですが、飽きっぽかったり机の上での勉強にあまり興味が無いタイプのお子さんだったりする場合は、
「勉強=楽しくない(むしろ苦痛)」
というイメージを植え付けかねません。
なのでおすすめは、【こどもちゃれんじ】 や幼児ポピー、易しめの市販ワークなどからのスタート。
一日1~2枚程度から学習習慣をつけていき「もっと演習量を増やしても大丈夫そう」となってから公文式を追加(もしくは移行)する方が、自然に勉強を好きになれるのではないかと思います。
スモールステップと反復練習について
公文式の最大の特長は超スモールステップかつ徹底した反復練習。
長男が公文式を取り入れた最大の理由です。
RISU算数や市販ワークもスモールステップと反復練習でカリキュラムが構成されていますが、実際にやってみると、公文式の徹底ぶりは群を抜いていました。
イメージとしては、RISU算数や市販の公文ワークが普通の階段なら、
公文式の教材は傾斜角度5度くらいの超なだらかなスロープ。
(ちなみにスロープの傾斜の基本は10度だそうです)
上がっているんだか上がっていないんだか分からないけれど、気づけばいつの間にか上にいる。そんな感じです。
これは狙い通りで、慎重な性格の長男とは非常に相性が良かったです。
ただ合わない子には全然合わないかもしれません。
また最初は合っていても、処理能力が上がってくるにしたがって、合わなくなる子もいるでしょう。
なので、公文式は必要なタイミングで必要な期間活用する、辞め時をしっかり見極める、という主体的な姿勢が大事かと感じています。
公文式に何を求めるのか具体的にイメージしよう
万能な教材も万能な習い事もありません。
何事もそれぞれ一長一短。
そしてその時々でお子さんにとって必要なものも変わるはずです。
我が家にとっては今まさに公文式が必要と分かったのでスタートしましたが、3歳下の次男も同じ方法をとるかは分かりません。
これからも、子供一人ひとりのペースや理解度、個性をじっくり見極めながら、必要な学習を取り入れていこうと思います。
次回は、実際に2か月間公文式をやってみて分かった、公文式の効果や息子の変化について述べてみたいと思います。