元塾講ママのシンプル中学受験

元中学受験塾講師。5歳と2歳の息子たちの「塾無し中学受験」を目論んでいます。

【中学受験】元塾講ママが出会った超優秀な子どもたち

優秀な子はなぜ優秀なのだろう?どんな親が子を優秀にするのだろう?

我が子にもできれば優秀に育ってほしいと思うのは、親なら当然の願いだと思います。

 

 

優秀な子ってどうやって育つのだろう

こんにちは。元塾講ママのしょうです。

塾講師時代、色々な生徒やご家庭に関わってきました。私の勤めていた塾は私立(国立)中学受験コースと公立中高一貫受検クラスがあり、私はどちらも担当しました。

偏差値40から70以上まで実に幅広い子を指導する機会に恵まれて、もちろん苦労もありましたが、日々学ぶことが多く今思い出しても充実した毎日でした。(激務には違いありませんでしたが 笑)

保護者と面談して家庭でのお話を聞く機会も多かったので、まだ独身でしたが「いつか自分が親になったら参考にさせてもらおう」などと密かに思いながらお話を伺っていました。

今回は印象深く記憶に残っている生徒たちを思い出しながら、我が子たちにどんなふうに育っていってほしいか、考えてみようと思います。

 

色んなタイプの優秀な子がいた

中学受験の世界にいた時に私が「この子は優秀だ」と特に感じた生徒が3人いました。

偏差値でいうと全員70レベル。しかしそれぞれ親御さんと子どもとの関係性が全く違うのが、とても興味深かったです 

 

 

お母さんが完璧に管理。御三家に合格した高性能コンピュータータイプのA君

A君は幼いころからお母さんが厳密に身の回りや学習を管理することで、高い学力を身に着け某御三家中学に合格しました。

授業での理解も早く、宿題も毎回完璧。ただ若干周りを見下すような態度と、精神的な幼さが気になっていました。他の子の成績をバカにする発言をするので、私を含む講師たちに厳しく𠮟られることもしばしば。

ただお母さんと一緒にいると「何もかもやってもらって当然」という感じで、面談などでも自分の意見があまり出てこないのが印象的でした。

その精神的幼さゆえお母さんの学習面でもコントロールが行き届き、高い学力を維持していたのかもしれません。

しかし将来お母さんのコントロールがきかなくなってきたときに、きちんと自分で自分を律することができるのか、私はどうしても心配になってしまうのでした。

 

お父さんが大好き!日経新聞を読むのが日課のB君

いつも好奇心いっぱい、何を教えてもすべて吸収してしまうBくんは、とにかくお父さんが大好き。

「お父さんと同じ学校に行きたいから中学受験をする」と自分から言い出したそうです。

ただしお父さんは勉強面に完全ノータッチだそうで、「父親はいつも子どもと一緒になってふざけて遊んでいます」と面談でお母さんがよく笑いながら話してくれました。

印象的だったのが「受験生たるもの新聞を読もう」という話を私が授業でしたとき、他の子が「朝日小学生新聞読んでいる」という中、Bくんだけ日経新聞を読んでいる」と答えたこと。

お父さんが仕事のために日本経済新聞を毎朝読んでいるそうで、大好きなお父さんのようになりたくて真似をしているうちに自然と賢く成長したと思われるB君でした。

彼も無事、第一志望の某御三家中学へ進学しました。

 

お母さん思いの優しい少年。最難関都立中高一貫校に合格したC君

C君は元々「圧倒的に学力が高いタイプ」ではありませんでした。

小6秋ごろまでは中で上といった感じの成績でした。

ただ、彼独自の視点で意見を述べられるところが持ち味で、今後の伸びしろは大きいと私は感じていました。

そんなCくん、入試本番を目前に控えた冬から急成長

ものすごい勢いで宿題をこなし、しつこく質問に食い下がり、すさまじい集中力で勉強するようになったのです。

面談に来てくださったお母さんとその話になると、

「実は自分はシングルで仕事が忙しく、勉強は本人と塾に任せっきりになってしまう。けれど、目標に向かって頑張る息子に親も頑張る姿を見せて励ましたい、とある資格試験に自分も挑戦することにしたんです。」

と教えてくださいました。

お母様はC君と「お互いに目標に向かって頑張ろう」と語り合ったのだそう。

思えば、少し頼りなさを感じる面のあったC君でしたが、このころから彼に「強さ」が加わりました。

親子が自立した「個」としてお互いを認め合う。こんな形の寄り添い方もあるのだなと感動し、面談中にも関わらず私は涙を我慢できませんでした。

 

 

好奇心を失った子ども

上記の3人とは別の意味で印象的だった生徒がいます。

学力面でなかなか伸びず苦労する子は毎年珍しくはありませんでした。ただ勉強が苦手な子たちであっても、

「勉強ができるようになりたい」

という気持ちをきちんと持っており、分かるところまで遡って説明をすれば、学びの面白さに気づき、再び意欲的に勉強に取り組むことができます。

しかしたった一人だけ、何をしても手ごたえが無く、好奇心はどこに置いてきてしまったのかと頭を抱えてしまった生徒がいました。

 

何をしても響かなかったDくん

小5の夏期講習に他塾からやってきたDくん。

志望校はとある都立中高一貫校で、適性検査という思考力や論述力を求められる入試です。

 

私は作文や資料の読み取り問題の対策授業を担当していました。

適性検査では自分の意見を述べる力が必要となるので、討論形式で授業を進め生徒たちに自分の意見を発表してもらうという形をとっていました。

 

しかしD君を指名してもまったく意見が出てきません

最初は緊張いているのかと思っていましたが、皆の意見にも全く興味を示さず、けだるそうに過ごしているだけ。

休み時間にDくんとコミュニケーションを取ろうと話しかけるも、やはり手ごたえがなく、何を考えているのか全く掴めません。

 

授業後お母さんとDくんの様子について話してもどこか他人事のような反応。

本人からも「好きなことはゲームだけ」という話を聞けただけで、結局2ヶ月ほどでまた他の塾へと去っていってしまいました。

私の指導力の問題もあったのかもしれません。

 

しかし授業で「〇〇についてどう思うか」と問われて「別に何とも思わない」としか返せない小学5年生。

短期間の付き合いとはいえ、好奇心のかけらすらも掴めなかった彼の将来を心配せずにはいられません

 

自分で自分を成長させられる人になってほしい

ただ学力をつけるだけならば、管理型のA君のような形もアリでしょう。

しかしそこに本人の好奇心が伴わなければ、いつかD君のように何にも興味を持てなくなってしまうかもしれません

 

一方でB君とC君は自分の中に元々好奇心の種がしっかりあり、「自分の力」でその種を大きく育てることができる子でした。

 

楽なことばかりではないのが人生。

でも何があっても好奇心さえ失わなければ、きっと自分で自分を成長させ前に進んでいけるのではないでしょうか。

 

我が子にはそんな風に育ってほしいと願い、今日も「あれって面白いね」「これって何でだろう」と好奇心の種を植えつけています。