ある朝いつもどおりに「かんがえるちからワーク」に取り組んでいると、こんな質問をしてきました。
長男:「迷路をやると、計算が早くなるの?」
私:「うーん、計算とは直接関係は無いと思うけど・・・」
長男:「じゃあ、迷路やると何が得意になるの??」
私:「たぶん図形問題が得意になるんじゃないかなー」
改めてこう子どもに問われてみると、迷路で身につく能力が何なのか私も気になってきました。
そこで今回は幼児期に迷路問題に取り組むことのメリットを考えてみたいと思います。
迷路やパズルの名作ワークといえば「Z会」と「なぞぺー」
どうやら長男は「迷路問題が一番好き」とのことなので、「やりたかったらどうぞー」くらいの軽い気持ちで、評判の良かったこちらの2冊を購入してみました。
まずは年齢相当のもの。Z会 幼児コース は通信教育でもお世話になっていますが、市販ワークも非常にクオリティが高いものばかり。
次に発展的な内容も豊富なこちら。問題文をしっかり読み込む必要があるため、読解力の基礎にも繋がりそうです。
なぞぺーの冒頭解説文がとても分かりやすかったので、参考にしながら迷路で身につく力をまとめてみます。
① 試行錯誤する力
冒頭解説文に最も多く出てくる言葉が「試行錯誤」。
迷路は間違った道ヘ進むと行き止まりになってしまうので、道を戻ってやり直す必要があります。ゴールに到着するには、ひたすら試行錯誤を続けるしかありません。
この試行錯誤する力を伸ばす、という点で特に迷路が優れているのは、「ゴールが見えている」がゆえに簡単には諦めづらいという点。ゴールがそこに確実にある、と視覚的に分かるので「あとちょっとでゴールできそう!」と子どもに感じられ、粘り強く最後まで取り組むことができると感じます。
「諦めなければ必ずゴールにたどり着く」という事を経験的に知っていることは、将来より高度な学習に入った時も、「きっと自分なら解ける(=自己効力感)」という自信の根拠になります。
そうした経験を積める迷路は、自己効力感を高める絶好のアイテムだと考えられます。
② 空間認識力
これは特に立体迷路で身につく力。橋を渡ったり、はしごを昇降したり、を2次元上で3次元をイメージしながら進めるので、空間認識力が上がると思われます。
ちなみに、
「橋をぴょーん」「橋の下をたたっ」など、擬音語を交えつつ指で辿って示してあげると、認識の助けとなります。
と、考える力がつく算数脳パズル 迷路なぞぺー入門編 の解説にあるとおり、擬音語で楽しく一緒に読んであげると、黙々と子どもに取り組ませるよりずっとスムーズに進みます。擬音語・擬態語(オノマトペ)はまだ語彙の少ない幼児にとってイメージを助けてくれる重要な言葉。絵本でも良書はすぐれたオノマトペが用いられています。
こうしたイメージする体験を積むことで、将来的には立体図形問題の断面図のような複雑な問題を解く力に繋がると考えられます。
③ 俯瞰する力
迷路を解く際、子どもは目線をペンの行く先とゴールの間で素早く何度も往復させながら解きます。その際なるべく視野を広く保つことが重要になります。
また、目線を早く動かすとことは、「頭の回転の速さ」にも繋がります。
「頭の良い子=閃(ひらめ)きのある子」と思われがちですが、それは実は間違い。
塾講師時代に出会った優秀な子たちは、常に手と目線をせっせと動かし高速に思考を回転させることで、「あの問題と同じ方法で解けそう!」と過去の経験から当たりをつけて、類似問題の解法を応用して新規の問題を解く、ということをやっていました。
そのスピードがとても速いので、傍から見ると突然閃いているように見えますが、解答の根拠を子どもに尋ねてみると、
「だって前にやったあの問題に似ているよね」
と答えるので、上記のように頭をフル回転させていることがよく分かります。
※このことは知る人ぞ知る中学受験塾「エルカミノ」の村上先生も同じようにおっしゃっていました。とても説得力のあるこちらの本、何度も読んでいます。
その際、自分の頭の中を俯瞰的に見て情報を検索する能力が高いと、より早く解法を見つけられるので、俯瞰する力は、学力にとって非常に重要だと考えられます。
まとめ:学習に向かう「心」と「頭」と「行動」の土台を作るのが迷路問題
他にも、運筆力、机に向かう習慣、集中力、などもありますが、迷路に特有に効果、という点で考えると、上記で挙げた「試行錯誤する力」「空間認識力」「俯瞰する力」の3つに集約されると考えられます。
学習の土台を作るこの幼児期、ぜひ迷路学習を通して「できた!!」という達成感を大いに味わってもらい、自律的に勉強を楽しむ子に育ってほしいと思っています。