元塾講ママのシンプル知育

元中学受験塾講師。5歳と2歳の息子たちの「塾無し中学受験」を目論んでいます。

【中学受験】「挫折を正解に変える力」元スパルタ塾講ママが元教え子の国立大医学生と再会

塾講師時代の元教え子から連絡をもらうことがたまにあります。彼ら彼女らの成長した姿を知ると、塾講師をして本当に良かったなぁ、としみじみ感じます。

少し前には、医師国家試験を目前に控えた医学生Yくんと10年振りに再会しました。

 

元教え子医学生Y君との再会

 

 

ある日SNSのメッセージ機能に新着メッセージが届きました。

名前を見ると、塾講師時代の元教え子Y君。SNS上で私の名前を見つけてくれたものの、確信は無かったようで

「もし違っていたら申し訳ありません。スパルタ先生ですか?中学受験でお世話になったYです。」

と大変礼儀正しい文章で送ってきてくれました。

突然の連絡に驚きましたが、嬉しくてたまらず即返信!

近況報告にランチ会をしようなりました。

 

後日待ち合わせに現れたY君は、都内の国立大学医学部6年生。もうすぐ医師国家試験を控えた中での再会でした。

Yくんはすっかり身長も伸び、立派な好青年に成長。時折見せるはにかんだ笑顔には、やんちゃだった小学生の頃の面影も残っていて、なんだかじーんと感動し、思わず涙ぐんでしまいました。

 

御三家に不合格。第二志望校になんとか繰り上げ合格したYくん

大学生活や中高時代の話、そしてやはり中学受験の思い出話に花が咲きました。

 

小学生の頃から群を抜いて優秀だったYくん。

「第一志望校の御三家中学は合格確実」と誰もが思っていました。

ところが、第一志望校は不合格。そして第二志望校のS中学にも不合格という予想外の結果に。

正直私は「なんでYくんが・・・」と信じられない思いでしたが、Yくん親子とじっくり面談し「1月受験校に進学」との結論になりました。

しかしその面談の3日後、Yくんから塾に電話が。

「S中学に繰り上げ合格しました!!」

 

繰り上げ順位がかなり低かったことから、合格の可能性はほとんど諦めていたのですが、この年は例年より辞退者が多かったようで、Y君は幸運にも第二志望校に繰り上げ合格することができました。

 

油断せず学年トップを独走

塾を卒業後も時折近況報告や勉強の質問に来てくれていたY君。

つい最近まで小学生だったとは思えないほど、落ち着いた姿に会うたびに変わっていきました。

宿題が非常に多く、成績不振者には留年や退学も容赦なく下すことで有名なS中学。

しかしY君は普段の勉強にプラスして自力でどんどん先取り学習もこなしていました。

特に大量の宿題が課される夏休みも、最初の1週間で宿題をさっさと終わらせ、残り1か月は部活も頑張りつつ、どんどん英語と数学の先取り学習。

それはさしずめ「セルフ鉄緑会」。とんでもなくハイペースでした。

 

そんなY君は定期テストや実力試験では毎回学年トップ。まれに3位などになることもありましたが、その後にはすぐに1位を奪還するのが常でした。

 

Y君が中2の終わりに私が異動となり、その後の進路は分からなくなっていましたが、彼が小学生のころ「〇〇大学の医学部に行って医師になる」と言っていたのを覚えており、

「今頃大学受験生だな」

「もしかしたら医学生になったのかな」

と節目にはよく思い出していました。

 

「自分はビリで入学」の自覚があったから努力するのが当たり前だった

そしてひょんなことから10年振りにY君と再会。

彼がたゆまぬ努力を続け、小学生の時に語ってくれたあの大学に本当に合格したことを知り、心から感動しました。

私が「なんでそんなに頑張り続けてきたの?」と尋ねると、

やはり中学受験でギリギリで合格したことが大きかったとのこと。

「自分はギリギリで合格したから、少しでも油断したら退学になるのではないか」危機感を抱いて入学したため、とにかく最初は必死だったそうです。

 

中学入試時点での合否、合格順位はほとんど誤差

中学入試の時点でトップ合格の生徒が高校卒業時もトップとは限らない、とよく聞きます。

逆もまた然り。Y君の例はまさにそれを如実に表しています。

 

しかも中学入試の合格ラインには多くの受験生がひしめき合っています。ほんの1点の差で結果が変わってしまうということですが、言い換えれば、

仮に不合格だとしても、合格者との間に

学力差はほぼ無い

ということです。

 

重要なのは中1終了時の成績

もう6月ですが、もしかしたら今も中学入試の結果を引きずっている人もいるかもしれません。

子どもより親の方が長く引きずるパターンも多いと聞きます。

ですが、重要なのは自分の学習スタイルを最初の1年間で確立できるか

もし第二や第三志望、あるいは滑り止めとして受けた学校であっても、そこでトップの成績を維持できるなら、間違いなく第一志望校の深海魚よりも学力は遥かに上です。

 

挫折を知らない王道エリート大学生の脆さ

「中学受験で挫折を経験して本当に良かった」とY君は何度も語ってくれました。

(また「スパルタ先生に厳しく指導してもらって良かった」とも)

 

Y君曰く、やはり大学には医者の家系の学生が多いとのこと、しかし退学者も少なからずいるそうです。

中学受験で難なくトップ校に合格、すぐに鉄緑会に入会し大学受験も無事に第一志望校合格。そんな王道を歩んできた受験会のエリートたち。

しかし挫折を知らない学生ほど、病院実習などで少しでも厳しい指導を受けると、すぐに心が折れて大学を辞めてしまうそうです。

「なぜ医師になるのか」など深く考えたことが無く、挫折も知らないとなると、厳しい指導やつらい経験をしてまで勉強を続ける意味を見出せなくなってしまうのかもしれません。

 

まとめ:「失敗しない力」ではなく「正解に変える力」を

「中学受験の時にはやはり自分に対して甘さがあった」

「でも不合格だったからこそ、そんな自分を見つめ直すことができた」

そう語ってくれたY君。

 

不本意な結果」は人生の中でいくらでもあります。

それでも、そこから何を学び、どう人生に生かしていくか、そうした「正解に変える力」こそ、合格以上に大切なのではないか。

なりたい医師の姿やこれまでの周りへの感謝を自分の言葉で語ってくれた謙虚で頼もしいY君の姿を見て、改めてそのように感じました。