幼少期の習い事として昔から変わらず人気なのがピアノやバイオリンなどの楽器。我が家も長男が3歳からピアノを始め、先日初めて発表会を経験しました。その経験からさらに気づいた「楽器を習うことのメリット」を今回は述べたいと思います。
頼れるのは自分だけ!たった一人で舞台に立つ
最近、4歳の長男が初めてピアノの発表会に参加しました。
私は息子と毎日練習をこなすのに精いっぱいでしたが、本番直前になって初めて気づいたのが
「舞台には息子一人で立ち、何があっても自分一人で最後までやり抜かなければない」
ということ。
考えてみると、これまで息子が経験した本番舞台というのは保育園の発表会くらい。お芝居では一人ひとりにセリフはあるものの、お友達と一緒に舞台に立つので、けっして孤独ではありません。
しかしピアノの発表会ではそうはいきません。
もちろん本当に困ったら優しいスタッフさんがサポートしてくれるでしょうが、入場から退場まで「たった一人」が基本。
長男にとって人生初の「一人で舞台に立つ」の経験がこの発表会なのでした。
毎日の練習が自信につながる
実は当日の朝、緊張してしまった長男は「発表会には行かない!」とイヤイヤモードに。
ここで「行かなきゃダメだよ」などと言っても逆効果ですから、
「そうだよね。緊張しているんだよね」
「毎日あんなに練習したんだから大丈夫だよ」
「もし失敗したって最初からやり直せばいいだけだよ」
と繰り返し声をかけると、長男は気持ちを落ち着かせることができました。
大人だって人前で発表するのは緊張します。そしてたった4歳の子どもでも、本番前で「もう後に引けない」というのは理解しているのです。
それでも「やらない」と言ってしまうので、何より失敗するのが怖いから。
だから、
毎日頑張ったことを一緒に確認することで自信を取り戻し、
失敗することは悪いことではない、とハッキリ伝えてあげることで、安心して「じゃあやってみよう」と気持ちを切り替えられたのだと思います。
ただこれは、そもそもの「毎日練習した」という実績があったればこそ。
手抜きな練習のみで「大丈夫」とだけ言い続けるのでは、幼児的万能感つまり「根拠なき自信」だけが肥大してしまうかもしれません。(口先だけのビッグマウスになってしまっては困ります💦)
だから大事なのは、行動に基づく「根拠ある自信」。
こうした力を身につけてほしと考えていた私にとって、まさにこのピアノの発表会は長男の成長を感じられる素晴らしい機会となりました。
模試では測れない「勝負強さ」。決め手は「根拠ある自信」
以前たった12歳の子どもがする中学受験の怖さについて記事を書きました。
塾講師時代、どんなに模試や過去問の点数が良くても、本番で思うような結果を残せない子がいました。たとえば一つ不合格が出てしまうと、そこから引きずられるようにどんどん調子が狂ってしまい、本来なら受かるはずの学校まで次々と不合格となってしまうのです。
一方で「この子はきっと大丈夫」と本番前から思わせてくれる子もいました。そうした子は模試では合格率80%に届いていなかったチャレンジ校にもしっかり合格するのです。
こうした本番でこそ発揮される力はなかなか模試の偏差値では表せないもの。
何がこうした違いを生むのでしょうか。
「できてしまう子」が必ずしも第一志望に合格するわけではない
中学受験は精神的に早熟な子が有利と言われています。
それは、抽象概念への理解力や語彙力が問題の難易度を決めるから。こうした力は成長するにしたがって誰でもある程度身につくものですが、12歳の小学生では個人差がとても大きいものです。
したがって早熟な子であれば、そこまで必死に努力しなくても「できてしまう子」がいるのは事実。ただ、できてしまうがゆえに「コツコツ積み重ねる」を疎かにしてしまい、結果的に本番で思うような結果を出せない子も毎年一定数いるのだと思います。
「不器用な子」は努力するからこそ本番に強い。そして入学後さらに伸びる!
逆に難問をすっと理解できるわけではない不器用なタイプであっても、日々努力を積み重ねることで着実に実力がつきます。そして、努力したという事実は誰よりも自分自身が分かっていること。「こんなに頑張ったのは自分くらいだ」そんな風に思えるくらい努力した子は、たしかな自信を持ち、とにかく本番にも強いのです。
そして中学入学後に「あと伸び」するかは、入学前の頭の良さよりも努力できるか否かが全てです。
まとめ:楽器を学ぶことは勝負強さを育てる。「根拠ある自信」を育てよう
このように考えると、
毎日欠かさず練習し、
積み重ねた努力を自信に変え、
たった一人で緊張感に向き合って舞台に立つ。
こうした力は、中学受験で必要となる力でもあり、さらに人生のあらゆる場面で「自分の力を発揮する」ため役立つにちがいありません。
発表会を終えて、長男は達成感と自信に溢れた顔で「また発表会に出ようね!」と言ってくれました。
その言葉を聞いて思わず涙ぐまんでしまった私。
慎重で失敗が大嫌いな性格の長男だからこそ、幼いころから楽器を通じて「根拠ある自信」を育てていきたいと、今回改めて強く感じました。