元塾講ママのシンプル知育

元中学受験塾講師。5歳と2歳の息子たちの「塾無し中学受験」を目論んでいます。

【書籍紹介】「ハーバードで学んだ最高の読み聞かせ」元スパルタ塾講ママの率直レビュー

アメリカの研究者が提唱する、能動的な絵本の読み聞かせがダイアロジックリーディングです。

「想像力」や「聞く力」に加え、これからの社会で必ず求められる「思考力」と「伝える力」を飛躍的に伸ばすことができるといいます。

 

一生モノの知性につながる「ダイアロジックリーディング」

こんにちは。元スパルタ塾講ママです。

以前の記事で「我が家では初めての読み聞かせを父親が担当する風習」がある、という話を書きました。

※こちらの記事です↓↓

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記事内でハーバード大学でも父親の読み聞かせの効果が実証された、ということに触れたのですが、

そのことを紹介した思考力・読解力・伝える力が伸びる ハーバードで学んだ最高の読み聞かせという書籍がとても興味深い内容だったので、ご紹介します。

 

中学受験国語の塾講だった私にとって、非常に腹落ちする内容でした

 

ここで提唱されている「ダイアロジックリーディング」を実践されるご家庭のお子さんは、間違いなく灘・御三家レベルの国語力の土台を手にできると思います。

 

 

ダイアロジックリーディングとは「対話(daialogue)」を取り入れた読み聞かせ

伝統的な日本の読み聞かせでは読み手(親や先生)が一方的に読み上げ、子どもは「静かに聞く」ということが重視されてきました。

 

一方ダイアロジックリーディングでは、読み手が積極的に子どもたちに問いかけ発言を引き出すなど、相互的なやり取りを重視します。

 

人の話をきちんと聞く能力自体は大切なことなのですが、それだけではなく今後の社会では特に「考える力」「伝える力」も重要になってくるというのは、多くの人が感じているのことではないでしょうか。

 

ダイアロジックリーディングで得られる効果は「見る力」「聞く力」「知識・語彙力」「考える力」「伝える力」の5つです。

 

「見る力」

たとえば、絵本の中に木の葉が出てきたら、その色や形などについて子どもが注目するよう適切な投げかけをします。

そうすることによって、「あ、絵本に出てきた木と同じ形だ」「濃い緑だな」など外の世界でもさまざまなことに注目したり気づいたりすることができるようになります。

 

このように、絵を通してどこに注目すべきかをうまく誘導してあげることにより、「見る力」が育まれます。それはアートを鑑賞する力にも繋がるといいます。

我が家の次男(1歳4カ月)の場合

現在「丸い(円い)モノ」への興味が凄まじく、お皿やボールはもちろん、おせんべいやお菓子の袋のイラストなどありとあらゆる丸い(円い)ものを見つけては「まんま!(まんまる)」と教えてくれます。

おそらく生後間もない頃からよく読み聞かせていたまるまる ぽぽぽん (いっしょにあそぼ)という絵本の影響ではないかと思います。

絵本の中にたくさん出てくる「〇」を次男が指差すたびに私は「丸だね」と答えていました。

 

やがて意味のある言葉が出始めたころ「まんま(まんまる)」と発するようになり、「そうだね丸だね!よく見つけたね!」と毎回褒めていたので「丸を見つけると褒められる」と学習したのでしょう。

 

今ではいつでもどこでも丸いモノを探すようになり、さらに派生して、天体図鑑(丸い星がたくさん載っている)であったり、

リビングにある地球儀であったり、様々なものへの興味が広がっていると感じます。

 

「聞く力」

これは伝統的な日本の読み聞かせでも重視されてきたことです。

本の世界に集中してじっくり聞き入っている状態は、子どもが想像力を働かせている状態。

「問いかけ」をあまり意識する必要はなく、読み聞かせを習慣化することが大切だそうです。

 

「知識・語彙力」

材料(知識・語彙)がなければ料理(思考活動)はできないように、「知識・語彙力」は思考において不可欠、と筆者は述べていました。

(料理の例えまで日頃私が考えていたことと完全に一致しており、思わず「うんうん!!」と首を縦に振りました。)

 

知識・語彙を子どもがインプットするだけでなく、「子どもがどんな語彙を知っているか」を大人が把握する問いかけが大切とのことです。

 

子どもと話していると意外と「え、こんな言葉知っているんだ!」と驚くことがあります。

そうした子どもの成長を正しく把握することで、「〇〇って知っている?」などの問いかけの際に適切なレベルの語彙を用いることができると考えられます。

 

「考える力」

考える力とはすなわち「因果関係」を理解する力であり、それが論理的思考力の土台になると書かれていました。

先日長男(4歳)と読んだ「だいじょうぶだよ、ゾウさん」

そこには吊り橋が壊れかけているのを見つけたゾウが、渡るのを諦めてしまうシーンがあるのですが、長男は「なんでゾウさんは帰っちゃったの?」と何度も尋ねてきました。

そこで私は「つり橋が壊れているね」「もしゾウさんが渡ってしまったらどうなる?」と一つずつ質問しました。

すると長男はようやく「体重の重いゾウが壊れた吊り橋を渡ると谷底に落ちてしまう」という因果関係を理解することができました。

 

大人にとっては簡単な因果関係の推論も、子どもにとってはまだまだ難しいもの。「どこまで理解できているか」を大人が把握する適切な問いかけが重要だと感じました。

 

「伝える力」

伝える力とは「文章構成力」「表現力」「説明力」の3つの言語能力とともに、「自己主張力」という態度・姿勢の総称です。

 

インプットが重視されてきた日本の教育の在り方が今転換期を迎えているのは、皆さん感じていると思います。

多様な人々と関わる現代社会では「察してもらう」だけでなく「はっきりと伝える」ことが不可欠ですね。

 

読み聞かせでは「あなたならどう思う?」「どんなお話だったか教えて」「なぜこれが好きなの?」などの問いかけを通して、「伝える力」を伸ばすことができると言います。

 

絵本の読み聞かせと国語の読解力との関係

以前読書量と読解力は必ずしも関係が無い、という話を書きました。↓↓

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その際に家庭での会話の質が重要であると述べたのですが、今回こちらの本を読んでみて、さらにその考えをクリアにすることができました。

 

つまり、ダイアロジックリーディングでは、対話を通じて豊富な知識を獲得し、論理的思考力を育み、伝えるトレーニンを積むことができます。

 

そうして育まれた力が国語の問題で発揮されると「読解力」と呼ばれるのです。

 

たくさん本を読むだけでは読解力が身につかない、と長年考えてきましたが、それは本の「読み方」の問題であったということです。

「語彙・知識」を増やすことに加え、「考える」という能動的な態度で読書や会話に臨むこと、それが読解力を伸ばすために必要だと、今回改めて感じました。

 

絵本の読み聞かせは小学校に上がる前まで、と思われる方が多いかもしれません。

しかし今回ご紹介したような「能動的な読解」ができるようになるまでは、小学生になっても続けるべきだとも書かれています。

 

ぜひたくさんのご家庭でお子さんと絵本を通じた対話を楽しんでいただきたいと思います。